雨音子

僕の背中はもう濡れてないよ

君が濡れてしまわないように 僕は傘になっていたから

僕は君が欲しい…

それだけなんだ


僕は今でもまだ青春にいるよ

君がいないと 誰もそこから連れ出してくれないから

僕は君が欲しい…

それだけなのに


君は朝雨に巻き込まれた

いつもみたいに、君はまた僕に電話したね

僕は7時までにそこに行く約束だったけど

11時って言えばよかったかな

まぁ、もう一度君を困らせてみたいだけなんだけど


僕は静かなベッドから外に飛び出して

誰もいない列車に飛び乗った

ここから40分かけて

君のいるアパートを目指すんだ


僕が君の傘になろう

僕がいつだってクルエラから君を守るよ

だから空が晴れたからって

すぐに僕を追い出さないで

だって、僕は…


僕の背中はもう濡れてないよ

君が濡れてしまわないように 僕は傘になっていたから

僕は君が欲しい…

それだけなんだ


君は今でも 僕らが色んなところで

キスを交わした僕らのアパートにいる

それだけでもう…

それだけなのに


懐かしい駅が僕を迎えてくれる

僕は以前 毎週のようにそこを利用してたんだ

駅員さんは今でも僕を覚えてくれていた

そして穏やかに言うんだ 「ずっとどこへ行っていたの?」って


僕は引っくり返った亀みたいに ずっと足掻いてるんだね

自分でもそうだと思うよ 本当に…

けど僕はまた引っくり返ろうとしてるわけじゃなくて

水たまりに入ろうとしてんだ


僕の地図にはもう目的地がないよ

君の隣に居るために 僕は歩いていたから

僕は君が欲しい…

それだけなんだ


醒めない夢なんてどこにもないよ

このことが現実になろうとしている気がするんだ

そう君に言い張るよ…

きっとそうなるよって


僕はようやくヒルトンスイーツに辿り着いた

時間は朝の6時8分 それでも僕はベルを鳴らしたんだ

僕は彼女の名前を呼んだ

すると突然 雨が止んでそよ風が吹いた


彼女は僕にインターフォンで答えたんだ

(やるべきことがあるでしょ)

僕のやるべきことはなくなったよ

(向かうべきところがあるでしょ)

今、僕が言えることは何もなかった

彼女は友達と一緒に出かけると言った

(あなたはどこへ向かうの)

今、僕が言えることは何もなかった

だって、僕は…


雨男だから


僕の背中はもう濡れてないよ

君が濡れてしまわないように 僕は傘になっていたから

僕は君が欲しい…

それだけなんだ


僕は今でもまだ青春にいるよ

君がいないと 誰もそこから連れ出してくれないから

僕は君が欲しい…

それだけなのに


君がいないと寂しいよ…

それだけでもう…


君と「さよなら」のキスを交わしたけど…

だけどやっぱり…